介護保険制度や尊厳の保持など覚えたい事

1.尊厳の保持を目指した介護実践

  1. 明かな虐待や望ましくない身体拘束以外にも、介護の現場は利用者の尊厳がおびやかされる状況が起こりやすいといえる。
  2. 尊厳のある暮らしという観点から見た人間らしさとは、現代という時間と、人々が暮らす地域社会の歴史的・文化的背景を基盤として、その社会のなかで生きていく人間にとって、ごくあたりまえの暮らし方の事を指している。
  3. 日常生活における基本的な欲求を満たすことが人間らしい暮らしの基礎となり、マズローの欠乏欲求を満たすことにもなる。
  4. 介護職は、利用者の暮らしを支援するときに、その人が介護職自信とは違った考え方をもち、違う暮らし方を望み、それを実現しようとしていると理解することが重要である。
  5. 人間は、自分の希望が実現できないことが明らかになっても、希望を変化させることで実現を可能にすることや、新たな希望を見いだすことが出来る力を持っている。

2.介護保険制度の保険者・被保険者

  1. 保険者は市町村および特別区である。ただし、保険制度の安定的な運営の為に、広域連合や一部事務組合などの形態もとられている。
  2. 被保険者の要件に国籍は問われない。外国籍であっても日本に在留資格があり住民票の記載がある場合には、強制適用の対象となる。
  3. 第2号 被保険者は、40歳以上 65歳未満で市町村の区域内に住所があり、医療保険に加入している者である。
  4. 介護保険制度における住所地 特例の対象施設は、介護保険施設、特定施設、養護老人ホーム、有料老人ホームに該当するサービス付き高齢者向け住宅である。
  5. 介護保険制度では、自分自身が介護を身近な事として考え、自分の親に介護の不安が出てくる年代として、40歳以上が被保険者とされている。

3.介護保険制度における保険給付

  1. 保険給付を利用するための要件となる保険事故の状態には、要介護状態もしくは要支援状態の2つがある。
  2. 介護保険制度における要介護状態・要支援状態の区分は、要支援1~2、要介護1~5の7段階である。
  3. 要介護認定、要支援認定には、まず被保険者による申請が必要である。申請は保険者の担当部署で受け付ける。
  4. 要介護認定・要支援認定の一次判定結果を基に、介護認定審査会で2次判定(最終的な審査・判定)が行われる。
  5. 要介護認定・要支援認定の有効期限は、申請日にさかのぼって設定される。

4.地域包括ケアシステムに関する内容

  1. 地域包括ケアという言葉は、1970年代以降に、当時の広島県御調町(現在は尾道市に合併)で展開された医療と福祉の連携による、地域ケア実践を表現するために用いられ始めた。
  2. 2005年(平成17)に介護保険法が改正され、地域包括支援センターが創設された。
  3. 2011年(平成23)に出された「地域包括支援センター業務マニュアル」によれば、地域包括ケアとは「地域住民が住み慣れた地域で安心して尊厳あるその人らしい生活を継続することが出来るように、介護保険制度による公的サービスのみならず、その他のフォーマル(公費)やインフォーマル(自費)な多様な社会資源を本人が活用できるように、包括的および継続的に支援すること。」とされている。
  4. 地域包括ケアシステムの理念とは、介護は必要になったとしても、保険、医療、福祉といった専門的なサービスの切れ目のない提供と共に、ボランティアや近隣の友人・知人からの助けも得ながら、住み慣れた地域で暮らし続ける事を目指す事である。
  5. 地域保活ケア 圏域については、おおむね30分以内に駆け付けられる圏域 を理想的な圏域として定義し、具体的には中学校の区を基本とするとされている。

5.介護 給付と訓練等 給付のサービスの利用

  1. サービス利用の申請は、原則として障害者本人が行う
  2. 介護 給付については、障害支援区分認定を経た後に、訓練等 給付は障害支援区分認定を経ずに、サービス利用希望者からの意向聴取を踏まえて、サービス等利用計画案が作成される。
  3. 支給決定を受けた障害者 等には、その内容を記した受給者証が交付され、決定内容に沿ってサービス事業者と契約を結び、サービス利用を開始する。これを利用契約制度という。
  4. 障害支援区分は、重度の人から障害支援区分6、障害支援区分5と続き、障害支援区分1までの6区分となっている。また、障害が軽い場合など、どの区分にもあてはまらない「非該当」になる場合もある。
  5. 障害支援区分は、市長村によるアセスメント訪問調査時の80項目の聞き取りを基にしたコンピュータ判定による一次判定と、市町村審査会が一次判定結果と医師の意見書などを基に行う二次判定を経て、市町村が行う。

6.サービスの利用に関わる諸制度

  1. 市町村 社会福祉 協議会は、日常生活 自立支援 事業の利用について、本人からだけでなく、家族、民生委員、行政職員、福祉サービス事業者などからも相談を受け付けている。
  2. 日常生活 自立支援 事業のサービスが適切に運営されているかを監査し、利用者からの苦情を受け付ける窓口として、運営適正化 委員会が第三者的機関として設置されている。
  3. 成年後見人制度は、判断能力の不十分な成年者(認知症高齢者、知的障害者、精神障害者など)を保護するための制度である。
  4. 成年後見制度には、法定 後見制度と任意 後見制度の2つがある。
  5. 成年後見制度のうち、法定 後見制度における青年後見人・保佐人・補助人は、家庭裁判所によって選任される。

7.介護の専門性

  1. 介護職には利用者の主体性を考えて介護するための知識や技術、感性が必要であり、それぞれの利用者が「その人らしく」生活できるように創意工夫した支援を行うことが求められている。
  2. 利用者を支えるためには、生活できる環境づくりも重要である。住み慣れた家であっても、加齢や障害によって身体などに不自由が生じると、生活の継続が難しくなることがある。利用者の生活に合わせて、本人の主体性を尊重しながら環境づくりを進めていくことが求められる。
  3. 介護が必要であっても、すべての行為に介助が必要になることはそれほど多くない。介護にあたっては、利用者の行為のプロセスの中で、どこが出来て、どこが出来ないのかを把握すると共に、工夫すれば出来ると思われる力を引き出す事も大切である。
  4. 利用者の希望や動機づけをうまく活用したり、それまで自分で行っていない行為であっても、発想を変えてアプローチしていくと、潜在能力が引き出される事もある。
  5. 介護職には、細やかな観察力と洞察力で利用者の潜在能力を引き出し、生活に生かしていく事が求められる。

8.高齢者の暮らしと支援の実際

  1. 多くの高齢者は、老いそのものを否定的に考えているわけではない。長い人生の中で得た沢山の知恵と経験、あるいは若い頃には知りえなかった豊かな人生観を、自らの誇りに感じる高齢者は沢山いる。
  2. 高齢者にとって、衰えは自然な変化だとはいえ、日常生活の多くの場面で介護職の支援を必要とするようになった場合には、介護職側の考え方によって、衰えの進行具合が大きく左右される事を意識する必要がある。
  3. 介護予防では、要介護状態になることを出来る限り防いだり、要介護状態がそれ以上に悪化しないようにする考え方が重要になる。
  4. 個別的な生活支援を考えていく上では、その人の要介護状態や生活している場のあり方はもちろんの事、その人が過ごしてきた人生のあり方、あるいは病気の種類や進行状況、年齢、さらには家族との関係や利用者自身がもつ人生観なども大きな意味を持っている。
  5. 平均寿命を超えた高齢者と、前期高齢者と言われる人たちへの支援の在り方は、基本的には分けて考えていくべきである。平均寿命を超えた高齢者に対しては、これまでに過ごしてきた時間の重みを尊重すると共に、残された時間ということも念頭に置きながら支援していく姿勢が求められる。

9.介護におけるリスクマネジメント

  1. 介護の場面で発生した事故については、介護職からリーダーに報告され、最終的には介護保険施設や事業所の管理者に報告されるしくみを整備することが義務付けられている。
  2. 事故報告の仕組みや事故報告書が整備されていても、介護事故に直面した介護職から報告が上がってこないと、その仕組みは機能しない。介護保険施設や事業所内に、「報告する事が専門職としての責務であり、報告した介護職を責めるものでは無い」と感じられる風土を根付かせる必要がある。
  3. 一つひとつの事故を組織全体で受け止める姿勢、だれが直面しても組織全体の事として考えていく風土や組織文化そのものが、リスクマネジメントと言える。
  4. 介護保険法にもとづく省令において、保険者に報告を要する事故とされているのは、骨折、やけど、誤嚥飲食、誤薬などのうち、入院または医療機関での治療を要するケガや利用者が死亡した場合などである。
  5. 介護保険施設において、介護職やチームが、利用者の個別性や心理的ニーズへ対応したり、生活ニーズを優先すると言った事が無ければ、利用者の行動が落ち着かないばかりか、生活のリスクが高まってしまう。

10.質問の技法

  1. 「お部屋は寒くありませんか?」という問いかけは、はい・いいえでこらえられる質問、あるいは簡単に2~3単語で答えられる事から、閉じられた質問と呼ばれる。
  2. 「趣味は何ですか?」という問いかけは、相手に自由を認め、相手が自分自身の選択や決定による答えを見つけることを促す事から、開かれた質問と呼ばれる。
  3. 2つの異なった質問を同時に尋ねると、相手はとても答えにくくなり、戻ってくる答えが確かな情報にならない可能性がある。
  4. 事実を尋ねる質問は、重要であっても矢継ぎ早になってしまうと、事実は確認できたが、相手の心が離れてしまったという結果になりかねない。
  5. 評価的な質問は、利用者に対する介護職の価値観を基に尋ねている。その為、利用者との信頼関係を、質問する前よりも悪化させてしまう事にもつながる。

11.相談・助言・指導の技法

  1. 人材育成・自己研鑽は、現場での実際の仕事を通しての学び、OJTと、研修会や通信教育などの介護現場を離れての学びの、OFF-JT、2つに分ける事が出来る。
  2. 日々行われているOJTの短所を補うには、チームでの取り組みが非常に有効である。チームで効果的にOJTに取り組む事が出来れば、指導者の負担は軽減され、指導内容のバラつきが減るなどの大きな効果を得る事が出来る。
  3. 介護サービスを運営する法人や施設・事業所に存在する理念とは、あるべき状態についての基本的な考え方であり、この理念を具体化して実現するために目標が設定される。
  4. 目標管理・達成の仕組みを組織・チーム内に作っていく事は、チームマネジメントの取り組みの1つである。
  5. 良いケアをチームで提供していく為には、日々のケアの質の向上だけを考えるのではなく、チーム全体で「人を育てる取り組み」組織としての理念や目標を共有する取り組みも合わせて行うことが大切になる。

12.ボディメカニクス

  1. 筋力の維持には、普段から最大筋力の20~30%以上の筋力を利用する必要がある。
  2. ボディメカニクスの基本原理は、介助者や利用者が足を前後・左右に開き、支持基底面積を広くする事で、身体は立位姿勢の安定性を高める。また、重心を低くする事で、身体がより安定する。
  3. ボディメカニクスの基本原理では、介助者と利用者の双方の重心を近づける事で、移動の方向性がぶれずに一方向に大きな力が働くため、より少ない力での介助が可能になる。
  4. ボディメカニクスの基本原理では、大きな筋群を利用する。腹筋・背筋・大腿四頭筋・大殿筋などの大きな筋群を同時に使う事で、ひとつの筋肉にかかる負荷が小さくなり、大きな力で介助する事が出来、結果として、介助者の身体にかかる負荷が少なくなり、腰痛などを防ぐ事が出来る。
  5. ボディメカニクスの基本原理では、押すと力が分散しやすくなる為、余計な力が必要となり、目的の位置まで移動させる事が難しくなる。引くと力を一方向に集中させる事が出来るため、余計な力を入れる事が無く、目的の位置に容易に移動させる事が出来る。

13.安楽な体位の保持と褥瘡の予防

  1. 安楽な体位の条件としては、姿勢が安定している事、筋肉のエネルギー消費が少ないこと、内臓 諸機関の機能を妨げない事、が上げられる。
  2. 人間は、無意識のうちに姿勢や体位を変える事で、同一姿勢からくる苦痛や疲労の軽減をはかっている。
  3. 褥瘡は一般的に床ずれとも呼ばれている。
  4. 栄養不良状態などの全身状態の低下は褥瘡の原因の一つである。
  5. 座位の生活の確保は、褥瘡予防に効果的な姿勢と言える。

14.頻尿、尿失禁、便秘、便失禁への対応

  1. 頻尿には、膀胱容量の減少、膀胱の過敏さ、尿路感染、膀胱内の残尿、心理的な物が原因として上げられる。
  2. 尿失禁は、切迫性尿失禁、溢流性いつりゅうせい尿失禁、腹圧性尿失禁、機能性尿失禁の4タイプに分けられる。
  3. 切迫性尿失禁とは、尿意切迫感(急に起きる我慢できない強い尿意)があり、トイレに行くまで間に合わず、漏れるタイプの尿失禁である。
  4. トイレの環境を整備する事は、便秘の予防につながる。
  5. 糞便側線による便失禁は、脳血管障害のある利用者や長期の臥床(寝たきり)により腹筋が弱くなった利用者にみられる。

15.一部介助を要する利用者の衣服の着脱の介助

  1. 一部介助を要する利用者の場合、本人が出来る部分を見極めて、支援が必要な部分を介助する事が基本となる。
  2. プライバシーへの配慮にとどまらず、保温の意味からも、バスタオルなどを利用して利用者の肌の露出はなるべく少なくしながら介助する。
  3. 着脱を介助する際は、介護職の手が冷たいと利用者に不快な思いをさせてしまうので、室内の温度のみならず介護職の手の温度にも注意する。
  4. 片麻痺がある場合は、利用者の転倒などを防止するため、介護職は患側に立って介助する
  5. 片麻痺がある利用者の場合、健側から脱ぎ、患側から着るのが基本である。脱健着患

16.介護の概念

  1. 2007年(平成19)の社会福祉士 及び 介護福祉士 法等の一部を改正する法律において、介護福祉士の仕事は「食事、入浴、排泄の介護」と表現されるものから、「心身の状況に応じた介護」の提供へと改められた。
  2. 利用者が抱える生活上の困難や不便(生活障害)を少しでも解消し、利用者本人が望むその人らしい生活の再構築を側面的に支える事、それも介護職が一方的に行うのではなく、利用者が自らの意思にもとづいて質の高い生活を送る事が出来るように支援すること(利用者本位、自立支援)が、介護の本質である。
  3. 介護とは、単に食事や入浴、排泄などのようなADL(日常生活動作)のお世話、また利用者が出来ない事への手助けや介助(利用者に変わって行為をする事)を意味するわけではない。そこでは、利用者の心身の状況や取り巻く環境に目を向け、具体的な根拠を持って援助していく事が求められる。
  4. 介護職は、介護支援専門員(ケアマネージャー)が作成したプラン(居宅サービス計画、施設サービス計画)を踏まえて、介護職の視点に基づいたアセスメントを行い、介護計画を立案し、具体的な介護を実施していく。
  5. 介護過程を展開する事により、客観的で根拠に基づいた介護実践が可能となる。

17.アセスメントに関する内容

  1. 情報の収集は質問責めや尋問になってはならない。また、介護に必要な情報を収集することが目的なのであって、興味本位に必要以上にいろいろな事を聞き出すことには注意すべきである。
  2. ICF 国際生活機能分類の構成要素の一つである心身機能・身体構造とは健康状態で把握した疾患に伴って起こっている状況をいう。
  3. アセスメント項目にあたる経済状況や家族関係は,ICFの構成要素の中の環境因子にあたる。
  4. アセスメントで情報収集する際の観察は、利用者との出会った瞬間から始まる。この時に、単に見守るのではなく、特別な目的のために見る力、観察力を持つことが重要となる。
  5. 観察の際は、気づいたことに対してなぜそのような状態なのかという疑問を持ち。因果関係を追求していく事も大切である。利用者一人一人の個性を見逃さないように「なぜだろう」「どうしてだろう」という疑問を持ち続け、因果関係を見つけることが、結果として観察力を高める事につながる。

18.ケアマネジメントを踏まえた介護過程の展開

  1. ケアプラン(居宅サービス計画・施設サービス計画)とは、一人一人の利用者のニーズに合わせて、適切な保険・医療・福祉サービスを総合的、一体的、効率的に提供する為の全体的なサービス提供計画の事であり、介護支援専門員(ケアマネージャー)によって作成される。
  2. 居宅サービス計画書(2)には生活全般の解決すべき課題(ニーズ)の他、提供されるサービスの目標とその達成時期、援助内容(サービス内容、サービス種別、提供する頻度や期間)などが記入される。
  3. サービス提供責任者は、利用者の日常生活全般の状況及び希望を踏まえて、指定訪問介護の目標、当該目標を達成するための具体的なサービス内容等を記載した訪問介護計画(個別サービス計画)を作成しなければならない。
  4. 介護計画(個別サービス計画)は、ケアプランに連動しているため、介護計画に変更が生じた場合には、必ずサービス担当者会議やケアカンファレンスの場で報告し、ほかの専門職の意見と了解を求める必要がある。
  5. ケアの標準化とは、組織が定める標準的なケアの方法・手順をマニュアル化し、業務手順として統一する事である。

19.摂食嚥下の5期

  1. 摂食嚥下の5期の準備期(咀嚼期)とは、食塊(食べ物のまとまり)を整える時期で、捕食、咀嚼、食塊形成の3段階がある。
  2. 口腔期では、食塊が奥舌の方に移送されてくると、軟口蓋が上がり、鼻への逆流を防ぎ、咽頭の入り口あたりの部分で嚥下反射が促され、ごっくんと飲み込む(嚥下)。
  3. 咽頭期から食道期にかけての蠕動ぜんどう運動は、飲み込みを意識しない状態で行われる。
  4. 口腔では、咀嚼によって唾液アミラーゼと混ざり、糖質(淡水化物)を分解する。
  5. 胃は袋状の器官であり、ここで食塊は胃液を混合し、さらに粥状じゅくじょう(かゆじょう)にれれる。

20.人間の欲求の基本的理解

  1. 生理的欲求とは、生理的に不足が生じ、それを回復しようとする欲求を言い、生命の維持に必要不可欠な欲求である。それが満たされないと、死につながることもある。
  2. 母性の欲求は、生理的欲求の中の種の保存の欲求に含まれる。
  3. 社会的欲求は、一時的欲求である生理的欲求や心理的欲求に対して、二次的欲求と呼ばれる。
  4. 愛情の欲求が満たされるか満たされないかは、人格の形成に大きな影響をもたらす。
  5. マズローによる人間のもつ欲求では、生理的欲求を基底に、安全の欲求、所属・愛情の欲求、承認の欲求、自己実現の欲求へと、より高い次元に昇華していく階層をなしている。

21.身体機能の影響が食事に及ぼす要因

  1. 全部庄義歯(総入れ歯)になると、かみ砕く能力は健康な人の6分の1から3分の1になると言われている。
  2. 加齢による咀嚼が関連する筋力の低下が起こると、咀嚼に要する時間が長くなるほか、唇の閉じが悪くなったり食べこぼしが起こる
  3. ご飯を食べましょう、もう一口食べましょう、といった言葉が無ければ、聴力が低下した利用者の場合、その刺激が遮断されてしまう。
  4. 咀嚼、嚥下機能が低下した利用者に対する食事は、本人の機能に合った食事形態を整えるという考え方が重要であり、柔らかすぎても固すぎても良くない
  5. 脱水、低栄養、全身状態の悪化(肺炎、心不全、がん、貧血、肝臓機能障害など)嘔吐、下痢、食欲不振といった消化器症状、糖尿病や高血圧に対する不適切な食事制限などは、食事行為への影響を及ぼすと共に、食事からも影響を受けるといった悪循環を誘導する。

22.排泄における変化に気づくためのポイント

  1. 一般的には、3日以上排便の無い状態を便秘という。
  2. 発熱や嘔吐、腹痛などを伴った急激な下痢で、集団で発生した場合は、感染性の下痢が可能があるので、早急な医師への報告と感染拡大の防止策が必要である。
  3. 排泄は人の尊厳に関わるため、本人や介護職が排泄障害をどのように受けとめているかによって、介助の方法も大きく変わる。介護職には、利用者の表情や言葉、態度などを観察し、その人の価値観、周囲との人間関係への配慮などが求められる。
  4. 排尿日誌とは、排尿時刻、尿量、失禁量、飲水量、強い尿意を感じて我慢出来なかったなどの症状、どんな時に漏れたかなどを記録するもので、最低24時間、できれば3日間以上記録する。
  5. 補高便座や昇降便座は、尿意や便意があり、座位保持可能な利用者に対して用いられる。

23.老化が及ぼす心理的影響

  1. 高齢者は皆同じような人だというイメージは誤りで、老化は個人差が大きいという事を知っておく必要がある。
  2. 高齢者とはという一律な考え方はステレオタイプと呼ばれ、一人ひとりの高齢者の個別的な心理的理解の妨げになる場合がある。
  3. 高齢者とコミュニケーションを測ったり、支援をしたりする時にはエイジズムに陥らず、個人を理解する視点が非常に重要である。
  4. 老化による心身機能の変化は、同じ年齢であっても個人差が大きい事が特徴である。
  5. 若い頃からの生活習慣は、その人の生活スタイルに大きな影響を与えている。心理や行動の理解には、生活歴や経験を知る事が大きなヒントになる。

24.要介護状態と高齢者の心理

  1. 要介護状態は、自立的な行動を制約する事が多いため、人間関係や社会的活動が縮小しやすくなる。その為、マズローの欲求階層説にある所属・愛情の欲求が満たされにくくなる
  2. 要介護状態によるさまざまな活動や参加の成約は、参加出来ていたのに出来なくなった事によって、自尊心を低下させやすくする。
  3. 要介護状態は、それまで可能であった日常の様々な事を困難にする為に、無力感が生じやすく、本来出来るはずの事まで諦めてしまう原因ともなる。
  4. 要介護状態にある高齢者は、みずからの心身の状態によってのみ依存的になるのではない。環境の中での本人と他者との交流の結果、依存的になる事を学習しているという考え方も示されている。
  5. 適応機制(防衛機制)における合理化とは、自分の失敗や欠点をそのまま認めず、社会的に容認されそうな理由をつけて正当化する事が出来る。

25.高齢期における脳・神経・精神の病気

  1. パーキンソン病は、中脳の黒質の神経細胞の変化によって発症する。
  2. パーキンソン病では、歩行がゆっくりとなり、細かい動作が上手く行えなくなったりして、転倒しやすくなる点に注意する。
  3. 認知症は、精神疾患の1つである。
  4. パーキンソン病の人の場合、平坦な道より障害物があった方がスムーズに歩ける。
  5. うつ病やうつ状態は、高齢者の自殺の原因として最も重要な疾患であるが、若年層に比べて症状が非定期的であり、気づかれにくい。

26.認知症の中核症状

  1. 記憶障害では、最近の物から過去の物へとさかのぼって忘れるようになる。
  2. 見当識障害(失見当)とは、時間や場所を把握する力の低下をいう。
  3. 失語とは、言葉を話すことに関わる器官(唇や舌、口の筋肉など)のそれぞれは全く正常であるにも関わらず、言葉を話そうとすると話せない状態を指す。
  4. 失語とは、手足の機能は保たれているのに、脳の運動野に障害があって行為が出来ない事を指す。
  5. 認知症の人は、数字が関係した事を把握する力や、計算力の低下が初期の段階から目立つ。他の症状が表面化していなくても、数字に関係することは混乱が起きている事も多い為、初期症状を理解する為には大切なポイントである。

27.認知症のアセスメント

  1. 認知症の人を理解する為には、認知症の人の行動や表情、言葉など、その時々の状況を事実として捉える事が大切になる。
  2. 認知症のケアでは、本人が望むことを理解する事、不安感や負担感を作る環境を少なくして、認知症の人が持つ能力を上手く環境に適応できるように支援する事が重要である。
  3. 認知症の人の行動や言葉の背景を読み解いていくツール(道具)であるひもときシートでは、認知症の状態を引き起こす要因や外的環境など、さまざまな影響を8つの側面から捉えている。
  4. 音や光、寒暖などの五感への刺激や苦痛の影響は、認知症の人をアセスメントする際の視点に含まれる。
  5. 認知症の人へのアセスメントで収集する情報は、数量化できるもの(体温、血圧、水分量、排便回数、食事量)と数値化できない物(家族、職員からの聞き取り、普段の様子、生活歴にまつわる過去のエピソードなど)がある。

28.ICF国際生活 機能分類

  1. ICF 国際生活機能分類は、ICIDH 国際障害分類 に変わるものとして、2001年にWHO 世界保健機関により正式に決定され、日本語訳は2002年に公表された。
  2. ICFの目標は、健康状態と健康関連状況を表現するために共通言語の確立にある。
  3. ICFは健康状態、心身機能と身体構造、活動、参加、環境因子、個人因子という6つの構成要素から成り立っており、それらの相互作用を重視している。
  4. ICFの特徴は、人が生きることの3つのレベルである、心身機能と身体構造、活動、参加、を含む生活機能の困難を障害としてとらえ、それぞれ機能障害、活動制限、参加制約という3つのレベルで把握し、相互の関連を示している点にある。
  5. ICFは医学モデルと社会モデルの2つの対立するモデルの統合(統合モデル)に基づく概念である。

29.障害のある人が普通に暮らせる地域づくり

  1. 国際連合が、1981年を国際障害者 年と宣言したのをきっかけに、日本でも障害のある人の保護の対象としてではなく、平等な権利を持つ存在であるという認識が広まって。
  2. かつては世界の多くの国々で、障害のある人が施設に収容保護されていたが、1950年にノーマライゼーションという考えが生まれた
  3. 日本では政策として施設の定員を減らし、地域生活へ移行する人を増やしている
  4. 障害者 権利条約や障害者 基本法、障害者 総合支援法の基本理念は、共生社会の実現を目指す事である。
  5. 社会で障害のある人の仕事をサポートする職場適応援助者(ジョブコーチ)を配置するなど、共生社会を支える体制が整備されてきている。

30.喀痰吸引等の制度に関する内容

  1. 喀痰吸引および経過栄養は、原則として医行為である。
  2. 医師法第17条では、医師でなければ、医業をしてはならないと規定されている。
  3. 2011年(平成23)の社会福祉士及び介護福祉法の改正後、介護福祉士等は法令で定められた行為(喀痰吸引や経過栄養)についてのみ、一定の教育や環境条件の基に業として行えるようになった。
  4. 介護福祉士が医療の業務の一部を行えるようになった事は、医療の供給体制の充実に繋がっている。
  5. わが国の医療供給体制が施設から地域へと転換した社会的背景には、急速な高齢化、医療費の高騰化、財政上の困難さなどがある。
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